他の地域にもれず、この集落にも乳幼児学級という保育園までの未満児が親子で参加するコミュニティがあります。
いわゆるママさんサークルといいましょうか、親子学級の類です。
もちろん我が家も移住してからかれこれ6年間、今は娘を連れて毎月参加しています。
この学級では毎年10月、中学校を訪れます。
中学三年生の課程にある「いのちの学級」という授業に参加するためです。
この授業はどうやって自分たちが生まれてきたのかという妊娠から出産までをゲストの助産師さんから学びつつ、子育てっていったいどんなものかを私たち乳幼児の親から話を聞く、という内容です。
この授業を見届けること7年目、移住当時は小学校3年生程度だった子どもたちが、今やわたしの背を追い抜き、ほとんど大人の状態になっての対面…成長がまぶしく、そして大人同士のように会話できることに気恥しさを感じつつ。そんな時間が年に一回のわたしの楽しみになっています。
授業のなかで中学生たちからの質疑があるのですが、よく聞かれるのが「子どもを産むときの不安は?」「子育てで大変なときは?」「今気を付けていることは?」…まぁネガティブクエッションのオンパレードです(笑)
出産や育児って世の中では「一大事」「大変なこと」「苦しい経験」というイメージがはびこっているのか、、思い返せば、わたしも母親に自分が生まれたときの話を小学時分に聞いたとき、「痛みは鼻からスイカってもんじゃないよ、しかも三人目でも痛みは一緒」と言われたのを今でも思い出す…笑
キラキラの出産(長男の出産時、朝焼けが本当に綺麗で世界がすべて美しく感じたのでこの呼称でよんでいる)を経た自分としては、「痛いけど楽しい、嬉しい、幸せ!」をこの十代の明日を担う若者たちに伝えられたら…という想いも重なるこの授業。
とはいえ、出産や育児というのは本当にプライベート…個人的、家庭的なもので思想に基づく部分も多いので、”これが正解”というものがない、と思う。「こんな出産が素敵!」「こんな育児がいいよ!」と言っても、それはその人個人のものであって、向き不向きもあれば善し悪しもない、とは私自身思うこと。要は宗教の思想のようなものなので、わたしは吉村教に染まったけれど(岡崎市の吉村医院で長男を出産)、世のお母さんが決死の思いで選んだ自然分娩の以外の出産方法を否定したことは、ない。
でもこの授業で「産まれてくるまで不安しかなかった」とか、「これじゃあ産めないよって先生に言われて泣いてばかりいた」とか、そんな話を聞いていると、誤解を恐れずに言いたい。
私が出産当日まで思うように動ける身体を持つことができたこと、早産の心配やそのほかの不安事がなかったことも踏まえても、それでも十代の若いひとたちに言いたい。
「妊娠、出産はつらくない」と。
この気持ちが初産からわたしに宿ったのは、同じ産婦の友人がたくさんいたからだと思う。
こればかりは吉村医院に感謝するとこなのだけど、どんな産婦人科にも妊婦さんたちの交流の場があると思うので一緒かな、次男と娘はそれぞれ違う助産院で産まれたけれど、その度に今でも人生を共にする大切な友人ができた。
特に不安な初産でわたしはたくさんの友人と薪割りをし、食事の用意をし、ともに食卓を囲んだ。吉村医院特有の「古屋」での時間。
そこには経産婦さんもたくさんいて、「こういうときはこうするといいよ」「私の場合はこうだった」「産まれたときの幸せ、半端ないよー!!」と聞かされていた。だから、長男と対面するときが待ち遠しくて、待ち遠しくて。
ずっとこのおなかでの一体感を感じていたいと思っていたので、いつ生まれてくるのか、とか、どうやって生まれてくるのか、とかそんなことどうでも良かった、本当に。今、このときが幸せだ、と生まれてくるそのときまで感じていた。だから「出産のときの不安は?」とか聞かれると「うーん…、なかった」としか答えようがないのです。
といっても善し悪し、じゃないです、これは念押し。
私の場合こういう気持ちになれたのは、きっと周りで同じ妊婦期を共有できた有志、戦友?がたくさんいたからだと思います。
不安を拭ってくれる友。
不安じゃなくて楽しみを共有できる友。
出産時に出会った人たちは今でもみんな、わたしの人生にとって大切な人ばかり。
人が人を助け、人が人の想いを倍に(いや、それ以上に)育て実現させる。
出産を経てこの想いが自分のなかでふつふつを湧いているのをこの頃感じずにはいられません。
移住をして6年の間に、この地域には私たち以外のたくさんの移住者が増えました。
そして、地元に生まれ、育ってきた人たちとの関係も強く深くなってきました。
すべてはコミュニケーション、出会い、話し、分かり合って生まれた関係。
移住者も地元の人もごちゃまぜにして、何か新しいことを、とびっきり楽しいことをできないかと思案する日々です。
取り急ぎ、今年新たに建設された交流施設、「黒川Maruke」を利用して、地元産の有機野菜や地鶏などをつかった一杯飲み屋「黒川バル(仮)」を10月から不定期ですが開催しようと話をしています。
黒川以外の方ももちろんお越しください。お泊りでお困りの場合はぜひ我が家にご相談ください。
このバルから生まれるコミュニケーションもきっと誰かの生きる糧に!と思う私たちです。
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